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ゼロの使い魔とは、原作:ヤマグチ ノボル・絵:兎塚 エイジのライトノベルをアニメ化した作品である。 他にネットラジオ・漫画・ゲーム化がある。略称して『ゼロ魔』とも呼ばれている。 このアニメには、強いくぎゅううううううううううううううううううと釘宮病が含まれています。 原作のライトノベルは、メディアファクトリー・MF文庫Jレーベルから。 本編は20巻(原作者死去のため、物語は未完結)、外伝は5巻刊行 原作者であるヤマグチ ノボルは、がんによる闘病生活を続けていたが2013年4月4日に死去(41歳没)。 …合掌 アニメ化は2006年7月から始まり、最新作の第4期が2012年1月より放送予定である。 アニメーション製作はJ.C.STAFFが担当。アニメ版については下の一覧表参照。 【TVアニメ一覧表】 シリーズ数 タイトル 放送期間 放送局 第1期 ゼロの使い魔 2006年7月~9月 チバテレ・他U局 第2期 ゼロの使い魔 双月の騎士 2007年7月~9月 チバテレ・他U局 第3期 ゼロの使い魔 三美姫の輪舞 2008年7月~9月 チバテレ・他U局 第4期 ゼロの使い魔 FINAL 2012年1月~3月 チバテレ・他U局 ※チバテレ→旧名・チバテレビ(千葉テレビ)、2008年で改名。 ちなみにCSでは第4期を除きキッズステーションが初であり、ほぼ一、二週遅れで放送している。 このアニメはお下がりものだったのである。ただし第4期のみAT-Xは製作委員会に参加している。 しかも2010年5月の『今月の新番組情報』では、当時唯一の最新作で、テレビ東京より28日遅れで放送した「メタルファイト ベイブレード爆」がキッズステーションで放送済かつ、3年10ヶ月遅れのゼロ魔の下になっている。 シリーズ数 キッズステーション ⇒ AT-X 第1期 2006年7月7日 ⇒ 2010年5月6日 第2期 2007年7月13日 ⇒ 2010年8月5日 第3期 2008年7月17日 ⇒ 2010年10月28日 第4期 - - 2012年1月7日 第4期はチバテレ、TVKより一日早い放送。 AT-Xでの放送は全シリーズ通して、通常枠で週1話・通常枠で週2話・ベルト枠ですでに3度放送されているが、 来る2011年の大晦日の日には、第1期~第3期全てを一挙放送。 【ゼロの使い魔シリーズ一挙放送】 放送時間は下記の一覧表参照。釘宮 理恵、日野 聡の二大声優をゲストにミニトークを、合計39回放送。 タイトル 放送日時時間 ゼロの使い魔(全13話) 12月31日・07:30~10:30 ゼロの使い魔 双月の騎士(全12話) 12月31日・13:00~18:00 ゼロの使い魔 三美姫の輪舞(全13話) 12月31日・18:00~23:30 アニメ本編の後にミニコーナーがあり、ガシャポンを使って出てきたカプセルの内容でフリートークを展開。 それぞれのシリーズ中はCMは一切流れない。アニメ本編第1話→(トーク→アニメ本編を繰り返し)トーク→アニメ本編最終回 大晦日なだけあって『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで・絶対に笑ってはいけない空港24時』など、特番等がぶつかってしまい、実況板が何度か落ちてしまった。 【放送リスト】 回数 放送枠 第1期 第2期 第3期 1回 通常枠・1話ずつ 2010年5月6日 2010年8月5日 2010年10月28日 2回 通常枠・2話ずつ 2011年1月31日 2011年3月21日 2011年5月2日 3回 ベルト枠 2011年4月7日 2011年7月14日 2011年10月7日 4回 一挙放送(※再放送なしの1回) 2011年12月31日 回数 放送枠 第4期 1回 通常枠・1話ずつ 2012年1月7日 2回 4回枠 2012年6月19日 果たして5回目はあるのだろうか…? 《主な登場人物》※一部ネタバレあり(それでも見たい方はクリックされたし) 【トリステイン魔法学院の人々】 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(声・釘宮 理恵) この物語のヒロインであり、ツンデレである。授業で召還した平賀 才人を「バカ犬」と呼ぶが、密かに好意を抱いていた。声がシャナに似ているのは、同じ声優が担当しているためである。『うるさいうるさいうるさい!』 実は… 『虚無』の魔法使いであり、第2期あたりでデレ始めるらしい。 平賀 才人(声・日野 聡) ルイズに召還されて使い魔になってしまった17歳の普通の高校生。何かとルイズにお仕置きされてしまう女好きのへタレだが、実は武器の使い手である。ちなみに『灼眼のシャナ』の坂井 悠二の声も同じ声優が担当している。 キュルケ(声・井上 奈々子) ルイズの同級生で、お色気担当のナイスバディな巨乳女。使い魔は火竜(サラマンダー)。何かとルイズに突っかかってきたり、才人に誘いをかけたりする。フルネームは『キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー』。 タバサ=シャルロット・エレーヌ・オルレアン(声・いのくち ゆか) ルイズの同級生で、眼鏡っ子でいつも本を見ている森田さんは無口な長門 有希少女。使い魔は風韻竜(ドラゴン)である。第1期の第6話では、かなりマジな一面を見せている。ちなみに幼い頃は明るい性格で眼鏡っ子ではなかった(第8話の回想シーンから)。豹変した母親に苦悩したり、悪夢でうなされる事もしばしば。余談だが「まほらば~Heartful days」で空木 桜の声を担当した頃は、『猪口 有佳』と平仮名でなく漢字である。井口 ギーシュ・ド・グラモン(声・櫻井 孝宏) ルイズの同級生で、バラがトレードマークの女たらしのスケコマシ。使い魔は巨大モグラ・ヴェルダンデ。アニメ版ではかなり人気のあるキャラクターだったらしい。ちなみに第1期の最終回では、ある意味貢献した活躍をみせている。 モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ(声・高橋 美佳子) ルイズの同級生でギージュと一緒にいることが多い負け組。使い魔はカエルのロビン。香水の錬金が得意で、また惚れ薬も練成したりもしてる。その惚れ薬でルイズがとんでもない事に…。 惚れ薬を飲んでしまったルイズは… 一気にデレた。(ただし元に戻ると、一気に激怒モードに。) シエスタ(声・堀江 由衣) 機用で手際がいい17歳(井上 喜久子ではない)の会長はメイド様。才人に好意を寄せている。第1期のOPでは、セーラー服姿の汗たらりのシエスタが見れる。実は例のアネ オスマン(声・青野 武、第4期のみ島田 敏) トリステイン魔法学院の学院長で、セクハラ爺さんだが高名なメイジである。ただしアニメ版ではメイジとして活躍の場が少ない。年齢は100~300歳らしい。ハツカネズミを使い魔にしており、これを使ってロングビルの股座に潜入させ、パンツの色を物色したりしている。なお第4期の代役の理由は、2010年に脳梗塞で入院したためである。病状は快方に向かっていたが、2012年4月9日永眠、享年75歳。 ロングビル(声・木村 亜希子) トリステイン魔法学院の秘書で、オスマンにセクハラされまくりの23歳。「ミス・ロングビル」と呼ばれている、気品あるお姉さん風の女性。 だが、実は… 女盗賊フーケで、口調は少し荒々しい。第1期の第6話で魔法の杖(バズーカ砲)を奪うため、その正体を才人たちに明かした。第7話以降は眼鏡をかけている。また彼女の家柄やフルネームを知っていたのは、後でも触れるがワルドだけのようだった。…にも関わらずOPでは最終回まで、ロングビルが除外されず普通に登場している。蛇足として、レギュラーキャラが物語の中盤あたりで、実は敵だったという展開は『アスラクライン2』『Weiß kreuz Gluhen』『宇宙大帝ゴッドシグマ』などでも使われている。 ジャン・コルベール(声・鈴木 琢磨) トリステイン魔法学院の教師で、ほぼハゲ頭。『炎蛇』の二つ名を持つが、科学的な研究も行っている。 『ハゲキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!』『俺たちのハゲ』ちなみにキャラクターソングも出ている。 【貴族連合レコン・キスタの関連人物】 フーケ=マチルダ・オブ・サウスゴータ(声・木村 亜希子) 第1期の第5話から登場した女盗賊で、土ゴーレムを生み出す「土くれのフーケ」。 OP、第5話はフードで素顔を隠している。第6話で才人にあっけなく倒された後にトリステイン王国の独房に拘束されるが、 ある男の協力で脱獄、貴族連合レコン・キスタの一員となり、ルイズ達の前に立ちはだかる。キュルケに「年増」呼ばわれされ「私はまだ23よ!」とムキになる一面もある。アニメ版の第2期以降には登場していないため、第1期の最終回で敗退したその後の消息は不明である。 蛇足だが、 原作ではトリステイン魔法学院の秘書になった経緯が描かれているが、アニメ版では一切触れられていない。独房から脱獄したのに、誰も突っ込みがなかったのも謎である『\アッカリーン/』。オスマンから受けたセクハラ…。 謎の男(声・?) 仮面をつけた正体不明の謎男。『同志を迎えに来た』と言い、土くれのフーケの脱獄を助けた張本人でもある。フーケと共にルイズ達の行動を監視したり、キュルケ達の前に立ちはだかり襲撃する。 その正体は…? 後でも触れるが、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドである。 オリヴァー・クロムウェル(声・斉藤 次郎) 貴族連合レコン・キスタの総司令官で年齢は30代の半ばのいかにも悪人ズラな司教。 第1期の敵の黒幕的存在でトリステイン王国の侵略を企む。ただし平民出身のため、魔法は使えない。 その代用として「アンドバリの指輪」を使用して、クロムウェルを慕う国民や同じ貴族連合の兵士などの前で「虚無」を演じていた。 この指輪の魔力でキュルケ達を動けなくしたり、ルイズを操ったりしている。 その後… 第1期の最終回では、フーケが敗北して逃走、ワルドが虚無の魔法で消え去り、トリステイン王国侵略に送り込んだ兵士たちも倒され、完全に不利と感じて逃亡しようとするところをキュルケたちと鉢合せになり、アンドバリの指輪で彼女たちの動きを封じるも、たまたま通りかかったギーシュの加勢であえなく敗北し、トリステイン王国の独房送りとなった。なおクロムウェルは第2期にも登場しているが、アンドバリの指輪を奪い返したシェフィールドに暗殺される。 【第2期以降からの登場人物】 ティファニア・ウエストウッド(声・能登 麻美子) ウエストウッド村の出身のハーフエルフで巨乳キャラ。愛称は「テファ」。 実は… 戦闘で死亡した才人を蘇生したのは彼女である。 イルククゥ(声・井口 裕香) タバサの使い魔である風韻竜=シルフィードの人間した姿。実はメスだった事が判明された。キュルケ、ティファニアにも劣らぬ巨乳で、変身後は全裸である。 ジョセフ1世(声・小杉 十郎太) ガリア王国の国王で、虚無の魔法を使えるのだが、世間の間では「無能王」と呼ばれている。普段は一人チェス、人形を使った戦争ごっこなどをして遊んでいる。 実は… 貴族連合レコン・キスタと、総司令官であるクロムウェルを裏で操り、アルビオン・トリステイン・ゲルマニアの国々を翻弄するなど、裏で悪行を企てている鬼謀な王だった。またシェフィールドを使い魔にして才人たちを何度も襲撃している。第4期でも登場しており、ルイズたちとの死闘の末、シェフィールドと共に火石の爆発で死亡した。 シェフィールド(声・勝生 真沙子) 神聖アルビオン共和国皇帝クロムウェルの秘書。 その正体は… その正体はジョセフ1世の使い魔で、魔道具を操る『神の頭脳・ミョズニトニルン』。才人たちの前に立ちはだかる。第4期でも登場しており、ジョセフ1世と同じ理由で死亡した。 【その他・ゲスト等+α】 デルフリンガー(声・後藤 哲夫) 才人の武器。片刃の長剣で意思を持つ魔剣「インテリジェンスソード」。タメ口口調だが、頼りになる相棒的存在である。 スカロン(声・後藤 哲夫) 第1期の第7話に登場した「魅惑の妖精」亭の店長。ゴリマッチョなボディにオネエ言葉を使う。『ウホッ!いい男』娘に看板娘のジェンカ(声・樋口 あかり)がいる。ルイズは、この酒場でアルバイトをするハメとなった。 アンリエッタ・ド・トリステイン(声・川澄 綾子) トリステイン王国の王女で、ルイズが慕ってる。別名『ロイヤルビッチ(*1)』。アルビオン王国のウェールズ王子(声・山中 真尋)を愛していたが…。 オルレアン公夫人(アニメ版では『タバサの母』『タバサ母』)(声・土井 美加) アニメ第1期の第8話に登場。まるでゾンビのような醜いおぞましい姿で、人形を我が子にように可愛がっているというその狂気さは、視聴者にトラウマを与えかねないキ◯◯イBBA。実の娘であるタバサには全く眼中になく、彼女にひどい罵声を浴びせたり、下手すればタバサ自身が死亡しかねない危険な任務をやらせたしたりしている(*2)。なお回想シーンに登場したオルレアン公夫人は、別人のような美しさである。『ママン、綺麗だよ』。オルレアン公夫人は第4期にも登場している。 なぜこうなった?… 第1期の第8話の回想から。「心を狂わせる水魔法」の入った毒入りの飲み物をタバサに飲ませようと企む貴族の男に気づいたオルレアン公夫人が、無理矢理タバサから取り上げて自分で飲んでしまったため。「投げ捨てればいいいんでね?」と突っ込まないように…。毒入りの飲み物を飲んだオルレアン公夫人は、毒の効果で狂気化してしまい、今の状況になってしまったのである。なお、タバサを狙った貴族はいうまでなく断罪されている。オルレアン家の執事であるペルスラン(声・田原 アルノ)は、今もその事を悔やんでいる。キュルケはタバサの家庭事情をこの時、知る事となった。 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド (声・26歳・志村 知幸、青年時代・鈴木 達央) ルイズが「理想の王子さま」と慕っていたグリフォン隊・隊長のイケメン髭男爵。二つ名は「閃光」。ルイズに婚約を申し込むため、現れるが…。 実は… 実は貴族連合レコン・キスタの一員で、ウェールズ王子をルイズたちの目の前で殺害した悪い奴《ワルド=悪(わる)奴(ど)》だった。いわゆる腹黒ある。裏でクロムウェルがアンドバリの指輪を使ってルイズを操り、本人の意思とは関係なしで無理矢理結婚しようとしているところから、ワルドにとってルイズは利用するだけの存在でしかないと思われる。最終回では、ゼロ戦に乗った才人とルイズに戦いを挑み、ルイズの虚無の魔法で消し飛ばされる。その後の生死は不明である。なお、フーケの脱獄の手助けをしたのもワルドである。 新井 里美 こちらは登場人物でなく、声優の新井 里美の事を示している。実は様々な使い魔役を演じている。 (演じた使い魔) フレイム(キュルケの使い魔・サラマンダー) シルフィード(タバサの使い魔・風韻竜=ドラゴン) ヴェルダンデ(ギーシュの使い魔・巨大モグラ) ロビン(モンモランシーの使い魔・カエル) モートソグニル(オスマンの使い魔・ハツカネズミ) 『ババアキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!、黒子キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! 』 1人何役という大役はのちの「キルミーベイベー」の『エトセトラガール』に発展する。
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CAPCOM VS. SNK2から『神人豪鬼(しんごうき)』 滅殺の使い魔-01 滅殺の使い魔-02 滅殺の使い魔-03 滅殺の使い魔-04 滅殺の使い魔-05 滅殺の使い魔-06 滅殺の使い魔-07 滅殺の使い魔-08 滅殺の使い魔-09 滅殺の使い魔-10
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「機神咆哮デモンベイン」の大十字九郎 斬魔の使い魔01 斬魔の使い魔02 斬魔の使い魔03 斬魔の使い魔04 斬魔の使い魔05 斬魔の使い魔06 斬魔の使い魔07 斬魔の使い魔07.5 斬魔の使い魔08 斬魔の使い魔09 斬魔の使い魔10
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使い魔ポロッゴ 依頼主 :サロ・ロッゴ(マトーヤの洞窟 X6-Y6) 受注条件:レベル59~ 概要 :マトーヤの洞窟のサロ・ロッゴは、憂鬱そうにつぶやいている。 サロ・ロッゴ 「ゲコゲコォ・・・・・・。 なんてこった、おしまいだ・・・・・・! マトーヤ様の怒りの炎で、干物にされてしまうんだケロ・・・・・・。 ゲコッ・・・・・・? お、お客人様、わたくしめに力を貸してくださるので? 嬉しい・・・・・・嬉しい・・・・・・なんて優しいお方だケロ! わたくし、「ポロッゴ」と呼ばれる使い魔トードの1匹・・・・・・ 名を「サロ・ロッゴ」と申しますケロ。 この洞窟の前に茂る薬草をつんでは、 マトーヤ様にお茶を淹れるのが、わたくしの役目・・・・・・。 ですが、その役目が果たせなくなり、困り果てておりますケロ。 というのも・・・・・・ あの薬草は、マトーヤ様が研究を重ねた逸品なのですが、 めでたき薬効を狙ってか、虫が寄りついてしまったのだケロ。 虫は手ごわく、わたくしめでは、杖もベロも出ないケロ。 お客人様、どうかどうか・・・・・・! 薬草から、憎き虫めを駆除してくださいませんか、ゲコォ!」 サロ・ロッゴ 「この洞窟の前に茂る薬草から、 憎き虫めを追い払ってほしいケロ! どうか、よろしくおねがいしますケロ!」 マトーヤの薬草を調べてオーンフライを討伐 マトーヤの洞窟のサロ・ロッゴに報告 サロ・ロッゴ 「ゲコゲーコ! ああ、強くて優しい、お客人様! 憎き虫めを、ベロリと駆除してくださったのですね! おかげさまで、お茶を淹れることができるケロ。 それこそ、わたくしめの唯一の役目。 そう、唯一の・・・・・・・・・・・・ゲコォ・・・・・・。 ・・・・・・実はわたくし、使い魔としてあるまじき、 ドジでグズなポロッゴなのでございますケロ。 マトーヤ様に任された役目をことごとく失敗し、 仕方なく命じられたのが、日に7度のお茶くみ係。 それすらも、此度はお客人様の力を、お借りしたケロ・・・・・・。 このままでは、魔法を解かれ、 物言わぬトードに戻されるのも時間の問題ケロ・・・・・・。 お客人様、後生ですから、再び力をお貸しくださいませんか! マトーヤ様の「望み」さえわかれば、 わたくしめでも、お役に立てることがあるはずケロ・・・・・・! そこらのホウキから、それを聞き出してほしいケロ。 彼らは、マトーヤ様から知識を授かった、魔法のホウキ。 小難しいことを言いたがりますが、 お客人様ならきっと、聞き出せると信じてますケロ!」
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アヌビス神④ 「ブチャラティはどこだ?どこにいるんだ?」 ギーシュとマリコルヌは今必死に街中を走り回っている。 早く見つけ出さないとキュルケの命が危ないかもしれない状況で内心二人は大焦りだった。 ブチャラティを見つけなくてはならない。一秒でも早く。キュルケの命が危険に晒されてるのは今なのだ。 「僕達久々の休みを満喫してただけだったのに…。なんでこんな人の命がかかった大マラソンやらなくちゃ いけないんだよチクショウ…。」 「無駄口聞いてる暇があったら早く探し当てよう。現実味に欠けててイマイチ実感がわかないかも知れないが キュルケが負けたら本当に死んでしまうんだぞ?手遅れにならないうちに見つけなくてはならないし、 僕達にはそれをやりとげる義務があるッ!!」 キュルケのクラスはトライアングル。おまけに彼女は軍人としての訓練もある程度受けていると聞いている。 その高い実力はよく知っており、信頼における物だった。 だがダメなのだ。スタンド使いの恐ろしさはクラスでは測れない。それが実際にスタンド使いと戦い、 そして知ったギーシュの持論だった。 (なにか、彼の手がかりだけでも掴むことができればいいんだけどな。どうしたものかな…。) あせるギーシュをマリコルヌが引き止める。 「なあ、ずいぶん向こうがやけに騒がしくないか?なにかあったんじゃないかな?」 「何か見つけたのか?」 「なんと言うか、ヒュウヒュウと空気の乱れる音がさっきからずっと耳に届いていたんだ。 『風』使いだからね。そういうのには敏感なんだ。打撃音も聞こえてまるで戦っているみたいだ。」 「戦っている?」 ギーシュはマリコルヌが指差す方向を見る。 「気になるな。よし。あっちの方向に行ってみよう。」 そこにいたのはウェールズだった。 追っ手に追いつかれて戦闘をしていたところだったのだ。 追っ手は4人の男。 「どうした兄ちゃんよ。ここまでずいぶんな数の仲間を一人一人やってくれたみたいだが、 多勢に無勢では流石に打つ手なしか?」 男の一人がそう冷やかすように言う。人数で押しているからだろう。 ある程度の余裕が感じられた。 「さあてね。もしかしたら一斉に全員倒す切り札をもっているかもしれないよ。」 「フン。なかなかいい度胸してるんだな。軍人か?てめーよォ。」 ウェールズは一呼吸おく。一旦落ち着いて敵を分析するためだ。 戦いの中ではまず相手の実力を見極めるのが重要とされている。 実戦に慣れているらしいウェールズはたやすく相手を見極めた。 (全員各系統のラインメイジか。だが特に何かに秀でているワケでもないようだな。 一応僕はトライアングルだが、敵が4人がかりとなると少し面倒かもな。) 杖を構えなおしてギロリと相手を睨む。そして呪文を唱えようとした。 だがウェールズはこの時まだ相手を完全に分析できていなかった。 そのため彼はこの後相手に意表をつかれ、呆然とすることとなった。 一番前にいた男が大声で仲間に言う。 「うっし!おまえら!いつものやつ行くぜッ!!」 「「「ウッス!」」」 雰囲気が盛り上がるような音楽が聞こえるような気がした。 「嵐のように現れて!突風のように去っていく!それはまさに疾風のごとくッ! 逃げ足なら誰にも負けねぇ! お れ の 名 は ペ イ ジ !」 「動かざること山のごとく!口開かぬこと地蔵のごとく! ノリと勢いで世界を救えるのか!? プ ラ ン ト!」 「・・・・・(ヤベッ!台詞忘れたッ!!)えっと、その、流れる、じゃなくてKOOL …は違う。うぐぐ…プリキュアじゃない、カミカゼでもなくて…」 「(ウェールズ)いつでもKOOLに決めてやる。水もしたたるいい男。 くらってくたばれおんみょう弾…か?」 「…なんで知ってんだよオオォォッ!!予知能力者かうう…うう… うおお おっ おっ オメーはよォォォォ ジ ョ ー ン ズ !」 「最後は当然このオレさ!誰もが認める炎の男!恋についてはオクテだぜ! ジョーンズ後で話あるから。 ボ ー ン ナ ム !」 登場シーンにアレンジ加えて登場しました俺たちがッ! 裏社会でのし上がれ!今時はやりのダークヒーロー! 血管針戦隊 ス テ ゴ マ 4!!! みんな応援よろしくねッ!(ウインク♪) バァ―――z______ン!!! ウェールズは先ほどのツッコミの後無表情になっている。 ギーシュとマリコルヌは『硬化』の呪文を受けたように固まった。 「付き合ってられないよ。僕は急いでるんだ。」 ウェールズが杖を構えなおし呪文を唱える。 そしてそれをペイジが感じ取り注意をうながす。 「いい度胸だ!見せてやろうか。俺達の必殺技ってヤツをッ!!」 4人が全員で違うタイミングで!絶妙な角度修正で!それぞれ違うスペルを唱える! 「くらえっ!お互いを打ち消さずそれでいて威力を高めあう俺達の最強合体スペル!! その名も『夢見る男達の多重血管針連弾』ッ!!」 「『トルネード』ッ!!」 竜巻とミックスジュース!術と術がぶつかり合うッ!! まあこの場の誰もが予想していた展開で幕を閉めるわけだが。 気がついた時にはすでに竜巻は捨て駒の術を意図も簡単に粉砕し終わった後だった。 しかし敗れた4人の顔にはむしろ余裕すら感じられた。 「あっさり俺たちの最強の術やぶれちまったぁ!!(予想通りの展開だがな。)」 「いくらなんでもあっさりすぎだぜッ!!(言うな。このために呼ばれたんだ。)」 「ちくしょぉぉぉぉぉ!!!!(今日は久しぶりに一杯飲もうや。ハッハッハ。)」 ドッカーーーーーz______ン!!! 4人は手馴れた様子で遥かかなたに吹っ飛んでった。 「この威力!トライアングルクラスか!?」 「そこの人!大丈夫ですか!?」 ギーシュとマリコルヌがウェールズの元に駆け寄った。 「・・・なるほど。だいたい話はわかった。」 ウェールズとギーシュたちが情報を交換する。 「ブチャラティはブチャラティで面倒なあってるなぁ…。」 「僕にはむしろ自分から率先して首をつっこんでいったように聞こえるけどね。 正気の沙汰とは思えないよ。ならず者はみんなメイジだってのに!」 マリコルヌが頭を抱えながら言う。町ひとつ簡単に占拠するメイジならそれ相応の強さがあるだろうに。 無論、それがぞろぞろいるのだとすればブチャラティ一人でそれを潰そうとするなんてあまりに現実から 離れすぎてるとんでもない大暴挙と考えるのだろう。 しかし、ギーシュはそんな不安がまるでないと言わんばかりにウェールズに聞く。 「ウェールズさん。ブチャラティは今どこに向かっているか心当たりはありますか?」 「ないな。だがさっき別れた時に30分立ってから広場で待ち合わせると約束した。 残念ながら本当に他に彼の手がかりは無い。広場に向かうことがやみくもに探すよりは一番妥当な手だと思う。」 「わかりました。広場ならここから10分で行けます。…キュルケも心配だ。さっき別れた武器屋の前のルートを 通っていきましょう。」 マリコルヌがギーシュに疑問があると言わんばかりに問いかける。 「待ってくれよギーシュ。どうしてそんなに冷静でいられるんだよ?いくらブチャラティでもできることとできないことがある んじゃあないかと考えないか?普通はさ。」 「わかってるよ。僕だってブチャラティがどうなったか不安なんだ。」 だけど、とギーシュが続けた。 「なぜだかブチャラティなら心配ない。そんな根拠のない自信が心の中にあふれてるんだ そんな見えない力が本来うろたえるはずの僕を後押ししているのかもしれない。 ブチャラティという奴はそう言う人間なんだ。だから僕なんか簡単にのされてしまったのさ。」 ウェールズがギーシュたちに言う。 「さあ、もう行かなくてはいけない。他の君たちの仲間がどうなっているかはわからないが事は一刻を争うだろう。」 走り出すウェールズを見てギーシュは思った。 「しかし、あの人はどこかで見たようなおぼえがあるな…。」 そう考えたギーシュの目にウェールズの指に嵌った緑色のルビーの光が飛び込んできた。 「アンタ誰よ?何が目的?」 目の前に突然現れた男に対したじろぐルイズ。 「うーんいいねぇお嬢さん。君実にかわいいよいやマジに。遠目に見ても一目で かなりの美人って分かるくらいだったからなァ~~。こうやって間近に見たら、 ンもう息も詰まるくらいにかわいいよ。うん。ピンク色のブロンドの髪といい、 透き通った綺麗な肌といい、俺の心をわしづかみにする要素だらけだ。魅入られてしまいそうだ。」 そう巻くし立てる男に対し、正直ルイズはいい印象を抱かなかった。誉められて いるはずなのにいい気分がしない。そう言って来たのが初対面の人間だと言うの も恐らくは理由のひとつでもあるだろうが何よりルイズはその男を直感的に気味 が悪いと感じていた。 「突然現れたと思ったら何をしゃべり始めてるのよ!アンタ私に何が言いたいの!?」 男が恍惚の表情を浮かべてルイズに言った。 「単刀直入に言おうか。君の事を気に入ったんだ。ぜひ付き合っていただけないだろうか?」 「ハァッ!?」 ルイズは男のあまりの展開に物凄く度肝をぬかれ、そして呆れ果ててしまった。 自分を遠くから見てたらしいが、自分にとっては初対面。たった今出会った初対面の男がそんな 台詞を言ってYESと言うはずが無いのにと思ったのだ。 ましてや男はルックスが悪いわけではないが、どう見ても平民だ。 「バカじゃないのアンタ?平民の分際でよくもまあこの私にそんな台詞が言えたモンね? 由緒正しいヴァリエール家の私がOKすると思ってるの?」 ルイズの発言はもっともだった。 「当然…。お断りよっ!!」 ルイズが仁王立ちで男を突っぱねた。 「な、そんなッ!何故だッ!!」 「当たり前でしょ!?どこの世界にたった今出会った奴のプロポーズをうけるバカがいるって言うのよ!?」 男はどうやら本気でショックを受けているようだ。軽いつもりのナンパではなかったらしい。 (オー・マイ・ゴッド!!今日会ったばかりよね!?なんでフラれてそこまでショックうけるほどに…。) 「そうか。じゃあしょうがないな。」 「フン。当然じゃな…。」 「今日は『無理矢理襲う』って感じに殺しちまおうか。」 ゾクッ!!といった感じの旋律がルイズを襲った。 「こ、殺すって!?」 気がついたら男はすぐ目の前。ルイズは後ろに下がる。 男はナイフで胸の辺りを切ってきたのだ。ルイズは一瞬で顔を真っ青に染める。 「な、何よ…。なんなのよアンタ…!何が目的…?」 「お前、あのおかっぱ髪の主人なんだろ?わかってるんだぜ。なーに状況が読めないのは無理は無い。 だから一つだけ教えておくと俺は最初から君を殺すつもりだったんだ。アイツに対する仕返しのつもりでな。 そして人質を取ったと奴にガセを流し、君の死体を囮にノコノコ出てきた所をぶっ殺しちまう寸法よ。」 男はニタニタ笑っていた。さっきの愛の告白とかも完全に自分を油断させたところを襲うつもりで言った狂言だったのだ。 「しかしよォ。君が本当に可愛いのは確かだぜ。だから今回は愛の告白に乗せて襲う作戦にしたんだ。 君は俺を虜にしてしまった。お嬢さん。君はなんて、なんて…。 な ん て 『美味しそうな』 娘 な ん だ ろ う ね。」 体中を嫌悪感が襲う。気がつけばルイズは逃げ出していた。 「ヤダ…!なんなのよコイツ!気持ち悪い…!!!」 男はルイズに向かってナイフを振るいルーンを唱えた。 「『エア・カッター』。」 ルイズの右足を風の刃が切り裂くッ!! 「きゃあっ!!」 「『きゃあっ!!』だってよ。素晴らしいな。実に楽しめそうだ。さあ、もっと俺を楽しませろよ。 さあ、もっと…!!」 ルイズが傷を庇いながら男を睨む。 「この変態野郎…。メイジ!?」 その平民に扮するメイジ。この男こそがブチャラティが喧嘩を売ったチンピラメイジ集団のリーダーだった。 この男は殺人行為がとてつもなく好きな男だった。特に美しい容姿をした女性を殺すのが好きな傾向は、 とある爆弾のスタンド使いにも通ずる所のある『性癖』そのものだった。 その男の殺人は趣味だ。これからもやめることは無いだろう。 そして今、その標的がルイズに決まってしまった。それだけ。本当に単純だった。 「冗談じゃ…ないッ!!」 ルイズが一瞬後ろを振り返ると、男がルーンを唱え、 ドュゥ~~~ン!! と言う音とともに一回の踏み込みでルイズのそばまで飛ぶッ!! 「魔法で一気に急接近してきた!?」 ルイズは泣きそうな顔になりながら不安定な自分を落ち着かせる。 (落ち着きなさい…。素数を数えて落ち着くの…。2、3、5、7、11、13…。 どうする?戦おうにも私はまともな魔法はまるで使えない! さっきの攻撃、おそらくトライアングル! 圧倒的過ぎる!このままじゃ本当に…。本当に…!) ルイズはいつしか涙を流していた。恐怖に飲まれていた。ルイズは心の底からマジに祈っていた。 (誰か・・・誰か助けて・・・!!) しかしルイズは曲がり角を曲がったところでッ! ズタンッ!! 「あうっ!!」 転倒してしまうッ!! 「い、いや…!」 ルイズに近づくリーダー。ニタニタした笑いでルイズが怯えているのを楽しんでいた。 ナイフを振るって心から楽しんでいる。それを振って魔法を使ったことから、おそらくコレが奴の杖なのだろう。 「ヒャァッーーーーハァッ!!」 (私には無理よ!どうすればいい?魔法が成功したためしがない、いつだ って爆発させてばかりの私に何が…。) ルイズは今自分が魔法が成功しない事を心からくやしがった。 (なんで私がこんなめにあうの?私が『ゼロ』だから?いつだって失敗ばかりの 爆発しか起こせない『ゼロのルイズ』だから?) 自己嫌悪して完全に諦めかけた。だがその時。 爆発しか起こせないのがそんなに恥じる事か?オレなら・・・。 「ハッ!」 「うらぁッ!イッチまいな~ッ!」 リーダーが切りかかろうとした次だった。ルイズが杖を構えて呪文を唱える。 「『ファイアー・ボール』ッ!」 「反撃かぁ!?弾き返してやるぜッ!『エア・カッ・・。」 ドカンッ!! 「ウグエッ!!!」 弾道が全く見えない。確かに唱えたのは『ファイヤー・ボール』のルーンだったはず。 だから『ファイヤー・ボール』の対処のため直線的な弾道を『エア・カッター』で切り裂こうとしたのだ。 だがそれがこなかった。その攻撃は突然腹部で起きたのだ。 「違うッ…。ガボッ!今のはよォーー。『ファイヤー・ボール』じゃねえ…。テメェ…何しやがったッ!何を…!」 ルイズの杖を持つ手は今も震えている。だがその目は真っ直ぐリーダーを射抜いている。 それは数日前。トリステイン魔法学院の広場。 昼休みだった。 「ルイズ?何を読んでいるんだ?」 背後からそう言ったのはつい最近に呼び出した使い魔のブチャラティだ。 「見てわからない?参考書よ。今勉強中なの。」 「そうか。すまないがオレはまだ字は読めない。」 ブチャラティはそう言って外を見た。 「しかし、外はこんなに晴れている。部屋にこもってないでたまには 外に出てみてはどうだ?体に毒だぜ。」 「私は魔法が使えないから。だから他のみんなよりがんばらないといけないの。 いつまでも『ゼロ』ってバカにされてやるもんですか。」 「…そうか。」 ブチャラティはここに来てから何日もルイズを見てきた。遊ぶ時間も寝る時間も削って 勉強する。呪文の反復練習なんて何回見ただろう。 なんとしてでも周りのみんなのように一人前のメイジになりたい。誰にも『ゼロ』とは呼ばせない。 そのために周りより苦しい生き方をしていた。 不公平だな。と思ったりもした。なぜルイズが他のメイジより苦しまなくてはならないのかと。 何より気に入らないのは、きっとルイズはブチャラティに会うずっと前から努力していただろうに、 それでも何一つ成功しないと言う点だった。 夜中だった。ルイズは外で呪文の反復練習をする。 外に出たのは部屋の中で呪文を使って爆発を起こされていたら安眠できないと 周りから苦情が来ていつも外でやるそうだ。 『ファイヤー・ボール』を放つ。爆発が起きる。 『錬金』を試みる。それでも爆発が起きる。 『エア・ハンマー』を使っても爆発。 爆発。爆発。爆発。何をやっても爆発しか起きない。 ブチャラティはその様子をただじっと見ている。 ギリ とルイズが歯を食いしばる。 「何でよ…。何で全く成功しないのよ…!」 ルイズの息が少し荒い。ブチャラティはルイズの疲労を感じ取り言った。 「今日はもう休もう。あんまりとばすと体に障る。」 そう言って差し伸べた手をルイズは跳ね除ける。 「まだよ…。できるまでやらなくちゃ…。絶対に成功させてやるんだから!」 ブチャラティもそれを見かねて言う。 「成功させるために体を壊したら本末転倒だぞ!」 「それでも!!やらなくっちゃいけないの。アンタにわかる?私の悔しさが。 ヴァリエールの三女として生まれて、誰からも期待されてるのに優秀なお姉さまたちと 比べてただの一度も成功しない!誰からも見放され!貶されて!名誉もなにもあったもんじゃあないわ! 私は何も出来ないから…。」 ブチャラティは首を振った。 「少なくとも…。オレはお前を見放すつもりも貶すつもりも無い。精一杯生きている人間を侮辱することなど 自分自身が一番許さないからな。少し劣っているからといって野次を飛ばすような奴など気にするな。 …今日はもう寝ろ。明日からまた頑張ろう。またオレも付き合うぜ。」 ルイズの胸の中に何か暖かい安堵の感覚が広がっていくのがわかった。 「ブチャラティ…。」 「それにお前は魔法は確実に失敗すると、どんな魔法を使おうが必ず爆発が起きると嘆いていたが、 爆発しか起こせないのがそんなに恥じる事か?オレならそれを『長所』と考えるな。」 ブチャラティの言葉にルイズが首をかしげる。 「『長所』?こんな爆発のどこが長所だって言うわけ?」 「他の奴らは失敗したとして爆発なんか起こせるか?他の奴らと話していたが誰も失敗で『爆発』は起きなかったそうだ。 つまり、お前は唯一、魔法で爆発が起こせるメイジと言うことになる。」 ルイズが目を丸くする。 「こんな爆発が…私の唯一できる事?」 「ああそうだ。それはオレも誇っていいことなんじゃないかと考える。他に簡単に爆発を起こせる奴なんかいないし 世の中には爆発を起こすことすら羨む人間もいる。オレを見てみろルイズ。オレに何が出来る? ただ『ジッパー』を貼ってそれを開け閉めしたりするくらいしかできないぞ。」 ブチャラティがルイズの肩を優しくおさえて言った。 「だがオレはギーシュに勝てた。こんなくだらないことしかできないくせに見事に勝って見せたじゃないか。 どんな技能でも使い方を工夫すればそれはきっとだれもくだらないなんて言わない誇れる長所になるだろう。」 ルイズはブチャラティの優しさに触れてわかった。ああ、これだから誰もがブチャラティを信じる人がたくさんいるんだなと。 「あ、あり…フン!それって慰めてるつもり?えらそうに。別にいらないわよそんなの!!」 しかしルイズは素直になれない。 「偉そうに言うつもりはさらさらないが、一人前になるためにはまずはそういう長所を伸ばすことから始めてみてはどうだ? そういう事から始めていけばもしかしたらいずれは…。いや、他愛も無いアドバイスだ。忘れたければ忘れていい。」 それが魔法でほめられた事の無いルイズが始めて認められた時だった。 「私はいつか一人前のメイジになりたい。だからここで死ぬわけにはいかないわ…!」 ルイズが決意した。ブチャラティは自分を探しているはずだ。だから奴に勝てないまでもそれまで生き延びて見せれば きっとブチャラティが助けてくれると! 「くそ…!なんなんだその魔法はッ!!」 リーダーがルイズに飛びかかる。だがルイズは冷静に呪文を唱える。 「『石礫』!」 「また単純なマネを!今度こそ『エア・カッター』で!」 ドカンッ!! 今度はリーダーの第二ボタンが爆発する。 「ま、また爆発ッ!!こいつの呪文…!全部爆発が起きんのか!?」 (これだわ…!これが一つ目の『長所』!これがいいのよ!私の爆発は何かをぶつける術ではなく直接対象を爆発させるから 身に着けている物を爆発させれば絶対避けられない!!) ルイズが敵を怯ませた隙をついて逃走する。 「待ちや…がれッ!!」 リーダーは攻撃に耐え、ルイズを追った。 「生き延びてやる!絶対ブチャラティは来てくれるはずだからッ!!」 「クソッ!ちょこまかと逃げやがって!いいかげんにしやがれ野郎ーーーーーッ!!」 すでに紳士面が剥がれ落ちたリーダーがルーンを唱える。その瞬間、男が再び勢いをつけて飛び込んできた。 「『ウインド・ブレイク』で自分を押して一方に高速移動したッ! 苦労したんだぜ。自分がその衝撃でやられないよう精密な動きができるようにするときとかなぁーーー!!」 あくまでその手で斬り殺すために磨いたのであろう近接攻撃向けの使い方! 「そしてこの体勢からエア・カッターで足を狙い、体をズタズタにしてやるッ!! 爆発だけで切り抜けることが」 この体勢からは避けられない!しかしルイズはッ! どんな魔法も失敗して爆発する。全ての魔法がだ。 「『レビテーション』ッ!!」 ドカンッ!! 「があああうッ!!!こ、コモン・マジックすら…爆発を発生させんのか!?」 (そう。コモン・マジックも。だから他の系統魔法よりも早く詠唱して攻撃ができるッ!!) 「ガハッ!クソッ!一撃でも当てたら一気にKOできそうなやせっぽちのくせにッ! じゃあ呪文すら唱えさせなかったらどうだよ!?いくら早く詠唱できるからって、 一瞬でも隙を突けばもうお前に防ぐ手立てはねえはずだぜ!『サンド・ブレイク』ッ!!」 風の二乗、土の一乗。砂の混じった風がルイズの目と口を反射的にふさがせたッ!! 「レビテ…ゲホッ!!」 一瞬。その一瞬の隙を付きリーダーが『エア・カッター』を唱え終わる。 「ハハハハハ!この近距離ならハズさねえ!爆発喰らったってテメエはこの一撃で再起不能だ! くらいなッ!!『エア・カッター』ッ!!」 ルイズがつらそうに目を開ける。だがその目にあきらめはない。 「ええ、そうね。そんな攻撃喰らったら間違いなく私は負けるわ。でも喰らわない。 すでに打開策は打っておいたッ!! あなたの服にカフスボタンがついていたからうまくいくんだけどね。」 「え!?」 ルイズが間髪いれずに呪文を詠唱!!狙いはリーダーの服についた杖腕のカフスボタンッ!! ドカンッ!! 「なっ!しまった!!」 爆発の衝撃でリーダーの攻撃が左に反れるッ!!当然、放とうとした攻撃は左に反れるッ!! 「爆発の有効な使い道…。これだわ。これでいけるッ!!」 ルイズが疲れきった体に鞭打ち表通りに出ようとする。 「なんとかして、ブチャラティに、会わなくちゃ…!」 だが。 タンッ!! 例の高速移動でルイズに追いつくッ!! 「しぶとすぎよこの変態!!とっとと倒れればどうなの!?」 「お、おれの…!俺の獲物!!ぜってぇに手に入れるッ!!」 ルイズが辺りを見回す。 「こうなったら…!!」 あたりにいろいろなガラクタがある。木箱、ガラス、セトモノ。それをルイズは。 「『レビテーション』!!『フライ』!!『着火』!!『アンロック』!!」 あちこちにやたらめったら爆発を起こしガラクタを破壊!! そしてルイズとリーダーの間に踏めば確実に足を痛めるであろう通行止めトラップができあがる! 「爆発の応用…!だいたいわかって来ている。ブチャラティが来るまで生き延びられる!!」 「どうかな?そんな物で俺が足止めできるとでも?『フライ』ッ!!」 あっけない対処。それはまさにこのことを言うのだろう。 リーダー自身も単純に対処できる事に拍子抜けした。 「このッ!降りてきなさいよッ!卑怯者!ド変態ッ!!」 ルイズがリーダーに向かって石を投げまくる。 「降りてなんかやるかよ。子供じみてるかもしれないが結構いい手だよなぁ? かわいそうになぁ?せっかく足止めなんて言ういい手を思いついちまったのによ?ギャハハハハハ!!!」 リーダーは空中で飛び回って石を避ける。 「ほらほら、くやしいか?悔しいだろうなぁこんな幼稚な手に引っかかってくれなくってよ? そもそもメイジ相手に足止めってのがちゃんちゃらおかしいぜ!」 ルイズは悔しそうな顔をして、 「おかしいかしら?そんなに私の行動が。その石ころただ投げてるとでも思ったの?」 と言った台詞とともにリーダーを嘲笑した。 「ハハハ…ハ?」 「『レビテーション』ッ!!」 ドッカーーz______ン!!! そう。ルイズが石を投げたのはこのため。空中のリーダーを爆発で打ち落とすためだったのだ。 「そしてそのトラップもアンタを足止めするために作ったんじゃないわ。」 そう言ってルイズは親指を立てる。 「アンタをそこに突き落とすために作ったのよ。」 そう言って親指を下に向けた。 ズサァッ!!! ブシュ!ブシュウ!! 「うごォォおああああああああああああああ!!!!!」 「絶対に…絶対に来てくれる。それまで戦うッ!!」 To Be Contined →
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「──────削除」 瀕死の連合軍の兵士に止めを刺そうとしていたアルビアン軍の兵士が、いきなり、胸を押さえながら倒れた。 「──────削除」 ドラゴンにまたがり、連合軍の兵士と空中で魔法のぶつけ合いをしていたアルビアン軍の兵士が、急にぐったりとして動かなくなった。 「──────削除」 地上で前線の指揮を執っていたアルビオン軍の部隊長の一人であろう男が、突然、杖を握りながら地面に前のめりになり、ぴくりともしなくなった。 「次、あれ! 次、あれ! 次! 次! 次!」 「削除! 削除! 削除! 削除! 削除! 削除!」 ルイズは己の使い魔とともに、ドラゴンに乗って戦場の上を飛び回っていた。 ときに上空数百メイルで行われている空中戦の合間を縫いながら旋回し、ときに地上スレスレまで低空飛行を行い、まさに縦横無尽であった。 使い魔は黒いノートを片手にルイズに指示された方向を凝視したのち、そのノートにひたすらペンを走らせていた。 一方、ルイズは時々飛んでくるアイスやファイアなどの魔法を、自分の爆発魔法で相殺していった。 「魅上、次はあれ──」 「久しぶりだな、ルイズ」 ルイズは、連合軍の兵士が一塊りになっている所に向けて呪文の詠唱を始めたアルビオン軍の兵士に目星をつけた。 そして、使い魔に指示を出そうとしていた矢先、ルイズたちの前に、グリフォンと風竜に乗った羽帽子と口髭が凛々しい長髪の男が現れた。 「ワルド様! いえ、ワルド!!」 「こんなところで再会するとはな」 その男は、風系統のスクウェアメイジで、トリステイン王国に三つある魔法衛士隊の1つ「グリフォン隊」の隊長であるワルドであった。 ルイズの許婚でもあった。しかし、少し前にアルビオンでルイズと結婚式を挙げていた最中、ルイズに拒絶され、逆上。 殺害を試みたものの、その場にいたウェールズ王子の活躍により失敗に終わった。以来、姿をくらましていた。 「魅上、目の前の男よ!」 「ルイズ! 仰せの通りに!」 ルイズの言葉に呼応し使い魔はそう叫び、ワルドを一瞥したあと、手持ちの黒いノートに 〈 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド 〉 と、書き込んだ。 「なんだい? その平民の使い魔が何かしてくれるっていうのかい?」 「ええ、そうよ」 ワルドは、何故ルイズがまるで己の勝利が確定しているかのようにそう言ったのか理解できなかった。 平民の使い魔が、貴族にかなうものか。はったりに決まってる──── 少し動揺しながらも、しばらく考え込んだのち、そう結論付けた。 「ふん、杖もなしにか。仮に何か特別な能力を持っていようとも……もう遅い! ルイズ、これで君とはお別れだ!」 ワルドはそう宣言し杖をルイズたちに向け、ルイズたちを葬り去るため呪文の詠唱に入った。 このときワルドは、自分が考え込んでいる間、ルイズたちが杖も構えず何かを喋っていたことには気づけなかった。 「ワルドの名前を書いてから何秒たった?」 「…………35 36 37 38」 「39」 「ワルド、私の勝ちよ!」 「40!」 ルイズの使い魔がそう叫ぶと、ワルドは詠唱を完了することができなくなった。 なぜなら、ワルドの心臓は止まってしまったからだ。 「うぐっ……な、ぜ……だ…………」 ワルドは、そう呟き、絶命した。 『DEATH NOTE』より「魅上照」を召喚
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夜も遅くの時刻。 ラ・ロシェールについたルイズ達は、早速、船の発着する埠頭に向かっていった。 「おい、露伴。どー見ても山岳地帯なんだが。 本当にこんなところに港があるのか?」 ブチャラティが不審そうに口を開いた。それはそうだろう。彼の世界では、船といえば水面を走るもの、と決まっているのだ。 「大丈夫だブチャラティ。僕達が乗るのは、船は船でも『飛行船』さ」 露伴が隣で即座に返事をした。彼は楽しそうな表情をしている。 「ロハンよぉ。なんだかうれしそうじゃぁねーか」 「ああ、今まで飛行船に関しては学院の文献出しか見ることができなかったからな。 実際にどんな速度で走るのか、どんな質感でできているのか、どんな乗りごごちがするのか! 今から興奮しているさ!」 ラ・ロシェールの、一本の山道の左右に沿って作られた建物を尻目にルイズはどんどん道を登っていく。 そして、ひとつの建物に迷わず入っていった。その建物は『錬金』の魔法で、一枚岩から作られた建物のようであった。 壁は一見滑らかに見えるが、露伴が手で触れると、練成痕である引っかき傷があるのがわかる。 おそらくごく最近になって補修を施したのだろう。 その建物に入ると、中は円形の部屋になっていた。 中空の空洞になっており、螺旋階段が壁に沿って二つ、互いに身をねじりあう蛇のように、果てしなく高く、上方へと続いていた。 ブチャラティが入り口からみて左側の階段に向かおうとすると、ルイズがとめた。 「違うわ、ブチャラティ。そっちは『降り』よ」 そういいつつ、ルイズとワルドは右側の階段を上っていく。 露伴が階段の段数を数えること四百六十九段目、ようやく階段の終点にたどり着いた。 そとに出る扉ががみえ、そこから冷たい風が吹き込んでいる。 「ルイズ、気をつけたまえ」 風にあおられ、少し身をふらつかせたルイズの肩を、ワルドが優しく支えた。 「ありがとう、ワルド」 そう返事しながら、ルイズは目的地である、船の埠頭、『ユグドシラルの化石』を眼前に納めていた。 「おい、露伴。あのでっかい木は何だ? それに枝に船があるぞ。この世界では船は果物みたいに木にはえるのか?」 「いや違うね、ブチャラティ。アレは空を飛ぶ飛行船で、あそこは埠頭なのさ」 露伴はスケッチをしながらブチャラティの疑問に答えた。夜だから、あまり観察できないとこぼしている。 「おめェ。歩きながらスケッチすんなよ」 デルフリンガーの突込みを聞きながら、一向はアルビオンへ行くという、『マリー・ガラント』号へと向かっていった。 「いやあ。戦争のおかげで我々はずいぶんと儲けさせてもらっていますわ」 自身を『マリー・ガラント』船長と名乗る男が豪快に笑っている。 「君。私達はトリステイン国王女の密命を受けている。 即刻、この船を徴収したい。すぐに出発させろ」 「いや、それは無理ですぜ旦那。この船には今回、最低限の風石しか搭載しない予定なんでね。アルビオンがラ・ロシェールに最も近づいたときにしかたどり着けない分しか確保できていませんよ」 今日の夜は『スヴェル』の月夜である。二つの月が重なる日だ。このとき、アルビオンの周回軌道がラ・ロシェールにもっとも近づくのだ。それに、船長の予定では日の出に吹く『サンタアナ』の熱風を利用して船の初期推力を確保し、極力風石を節約しようと企んでいた。 「私は『風』系統のスクウェアクラスだ。足りない分は私が魔法で何とかしよう」 「そいつはありがてぇが、やはり無理ですな。この船にはいま風石を積み込んでいる途中なんでね。それに船員も町に繰り出してしまっています。そいつらが戻らない限り、船は動かせませんよ」 「それではいつ出発できるようになる? 報酬は弾むぞ」 ワルドの疑問に、船長は豪快な笑いと共にワルドに保障した。 「明日の日の出には必ず。それはお約束いたしますぜ」 「ところで、何かを大量に積んでいるようだが、積荷はなんだい?」 露伴が興味深そうに船の擬装を見て回りながら質問した。 「硫黄だね。今のアルビオンじゃ、同じ重量の金塊で売れるんだよ。これほどうまい話はそうそうねぇな!」 「なら、風石をたくさん積んで、アルビオンとの往復回数を増やしたほうが得なんじゃあないか?」 「いやね、兄ちゃん。普通ならそうなんだがね」 船長は口惜しい感情を隠す気もなく話を続ける。 半年前ごろからガリア産の風石輸入が急に途絶えた事。 「風石も、金塊とはいかなくても、それなりの値段になっちまったんだよ」 「おかしいじゃない? なんでアルビオンの風石を使わないのよ?」 ルイズが当然の疑問を口にした。 アルビオンは巨大な風石の魔力で空を浮遊しているといわれている。 真偽は不明だが、そういわれるほどに風石の鉱脈がいたるところにあるのだ。 この風石の鉱脈のおかげで、アルビオンは主要産業である工業部門の大部分が成り立っているのだ。 「それがですな、貴族のお嬢ちゃん。去年の今頃だったか、アルビオンの王政府が自国内の風石の採掘を厳しく制限したんでさ。何でも、アルビオン大陸全体が少しずつ降下しているらしいとか」 「そうだな。たしか最近見つかった古文書でそれが判明したはずだ。アルビオン大陸は、始祖ブリミルの時代には雲のはるか上にあったらしい。しかし、それが今じゃ大陸が雲に覆われている状態になってしまっているからね」 ワルドが国家の機密事項だといって、内実を自慢そうに打ち明けた。 「そうだっけか? 俺はあんまり思い出せねーからなんともいえねーが……」 デルフリンガーが不可解そうな様子で声を発した。 「そうだよ、デルフ君。そもそもその採掘制限政策こそがアルビオン内乱の根本的な原因なんだからね」 「どういうことだ?」 ブチャラティの疑問に対し、露伴がワルドの先を続ける。 「まず前提として、アルビオンの主要な輸出入項目はなんだ?ルイズ。 先日コルベールの授業で出たやつだ」 ルイズが何とか思い出し、つっかえつっかえながらも正しい回答を答えることができた。 「ええっと……輸出が造船と木材、製鉄で、輸入が小麦と硫黄、石炭だったかしら?」 「そのとおりだ。よく勉強しているね、さすが僕のルイズだ」 ワルドはそういいながら、ルイズの桃色の髪の毛をなでた。この男、いちいちしつこい。 「話を続けよう。アルビオン国内の風石……貿易船の燃料が国内で賄えなくなったから、自然に輸出入のコストがかかってしまった。中でも、ガリアが輸出関税を引き上げた事もあり、小麦の価格は以前の三倍にまで跳ね上がったらしい」 「なるほど……主食がそこまで値上がりしたんじゃ庶民はキツイだろうな」 ブチャラティがうなずきながら先を促している。 実際はこの時期、きついどころか相当の餓死者を出していた。統計では、王都ロンディニウム在住の下層平民は1/3が死亡したとも言われている。 「その状況で、近頃ガリアが新式の、魔法を使わない製鉄生産方式を開発してね。 ブチャラティには溶鉱炉といったほうがわかりやすいかな? まあ、そのおかげで、ただでさえ高くなっていたアルビオン産の鉄は誰にも見向きをされなくなってしまったんだよ」 「常識的にも考えろ、ルイズ。いくら戦時中だとしても、それだけじゃあ硫黄が黄金と同価値になるはずないだろう? アルビオンはいまハイパーインフレに悩まされているのさ」 「はいぱぁいんふれ? なにそれ?」 「言ってしまえば、すべての物の値段がとんでもなく高くなってしまうことだね」 『マリー・ガラント』の船長が口を挟んでくる。 「まあ、だいたい兄ちゃんのいうとおりでさ。輸送業者の我々としても、建築費が高すぎて、アルビオンでの船の改装や新築を控えていましてな。そのおかげで、アルビオンの造船工房は次々と閉鎖しているようですぜ」 「で、決定的なのがこの先だ。税金の滞納が急増してね。アルビオンの王政府は軍の給金すら賄えなくなってしまった」 ワルドがトリステイン政府内で手に入れたという情報を披露する。この話は露伴も初耳であった。 「国庫の赤字を補うためにアルビオン王家は上院議会を召集してだ。議会の名の下に教会に対して課税を行ったんだ」 この時代、教会に対しては一切の税金をも徴収しないのがハルケギニア諸国家に共通する暗黙事項であった。 それの禁忌を、アルビオン王政府は破ったのだ。 「当然ながら教会関係者は猛反発。デモの嵐さ。そして、意外なことに、そのデモに空海軍の兵士が参加した」 ルイズはおかしいと思った。彼女は実際にそれを口にして聞いてみた。 「どうして? その人たちは給金がもらえるはずなんじゃないの?」 「そうなんだけどね、僕のルイズ。もし給金をもらえたところで、いまのアルビオンじゃまともな食料を買うことすら難しいだろう。それに、空海軍の隊員はほとんどが平民だ。彼らの故郷は今も飢えに苦しめられている。彼らは小麦の価格の高さを、王家の失政だと感じていたんだ」 「それで『血の虚無の曜日』につながるわけか」 露伴は得心を得たようにうなずいた。 「ああ、鎮圧に動いた王軍もデモ隊も、当初は平和的に話し合いを進めていたんだけど、いつの間にか血みどろの争いになってしまった。そのうちデモ隊は本格的な武装を始めてね。元司教のクロムウェルを中心に、一部貴族も加わって、王家の鎮圧軍に対抗するようになった。かなりの貴族が叛乱軍に回ったからね、今の『王党派』と『貴族派』の内戦に拡大したのさ」 宿『女神の杵』内。 ルイズは疲れたように話を続けた。 「そういうわけで、この部屋を替わって頂戴。私は疲れているし、ここしか二人部屋は空いてないのよ」 キュルケは意地悪そうな笑みを浮かべた 「あなたがどこに何をしに行くか教えてくれたら、換わってあげる」 ルイズは承諾しそうになったが、アンリエッタとの約束を思い出した。 (『あなたは道中、アンリエッタの代行として行動なさい』) 姫様はこのことを、今まで私以外の誰にも話さなかった。 ならば、外国人のキュルケになどは決して話さないに違いない。 「いえ、だめよ。話せないわ。でも部屋は譲ってちょうだい」 「なら、ダメよ」 底意地を悪く言い放つキュルケをジト目で見ながら、ルイズは二人部屋をあきらめた。 「仕方ないわ。ワルド、この際だから四人部屋で我慢しましょう」 「そんな!」 なおも食い下がろうとするワルドであったが、現実は厳しい。 今はルイズの言い分が正しかった。 このまま口論を続けていてもキュルケが部屋を空けてくれる見込みはない。それにこの宿屋は本日活況を呈している。今あいている四人部屋も、いつ満室になるかわからないのだ。 ルイズたち一行と受付の男は、四人部屋に向かって歩き去っていった。 「なんだ。意外と引き際がいいのね」 キュルケは一人つぶやいた。いつものルイズなら、もう少しは突っかかってきてもよさそうなのに。彼女は、ルイズがもう少し粘ったのであれば部屋を譲る気でいた。 キュルケにとって、今日のルイズはなんだか大人びている様に思えた。 「なにか重大なことをしているみたいね」 そう独り言を言いながらドアを閉めようとしたとき、ルイズが一人だけ、こちらにかけてきていた。 「あなた達、どうせ私達についてくるんでしょーが」 「ばれた? てへッ」 あきれた様子で腕を組み、ため息をつくルイズに対し、キュルケはお茶目に自分の頭を軽く拳骨でたたいて見せている。 「しょうがないわね、もう。部屋のことはいいから、明日の朝、日の出の一時間前に宿屋の玄関の外に来て。そこで今回の任務を説明するわ」 「本当?」キュルケの目が光り輝く。 彼女の後ろにいるタバサも、耳を済ませているようだ。 もっとも、タバサの場合は任務の内容よりも露伴のことが気になるようであったが。 「ええ、あまり細かいことは話せないけどね」 ルイズははっきりと返事をした。 「ああ、それと、その説明の後すぐに出かけるから。 宿のチェックアウトはその前に済ませておいてね」 「ええ、わかったわ」 キュルケは二つ返事で即座に返答した。
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注意……オリキャラが出ますがこの話し限りです。これ以降出てきません。 「ひでえよ相棒」 「お前が変なことを言うからだ」 「事実を言っただけじゃねえか」 「そんなことは言ってない」 そんなことを言いながらベッドから下りようとする。勿論デルフを取る為だ。そのまま放置していても良いがそれだと喋り続けるからいけない。 しかし体がだるくて仕方が無い。全身に重りでも付いているのかってぐらいだるい。 ベッドから下りるだけでもやっとだ。これじゃああんまりだな。 「おい相棒。おめえ大丈夫か?結構つらそうだけど?」 「問題ない」 立ち上がり歩こうとしてみるがなかなか1歩が踏み出せない。まさか3日寝てたからってここまで筋肉が衰えるものなのか!? そんなことを思いながら歩こうとするとドアが突然開かれる。開けたのはローブを身につけた中年の女性だった。とても驚いた顔をしている。 「何をしているんですか!」 突然大声で怒鳴ったかと思うと懐から杖を出し呪文を唱え私に向けて振る。すると体が突然浮き上がりベッドの上に乗せられてしまった。 「安静にしていなきゃだめでしょうが!」 それよりお前は誰だ。 「まったく、ミス・ツェルプストーから意識が戻ったと聞いて来てみればまさかこんな無茶をしてるなんて」 「すまないが、あなたは誰だ?」 彼女(ポンフリーというらしい)は私を治療したメイジらしい。彼女の言い分によれば体はまだ完全には治ってないそうだ。 もはや命に別状はないらしいが治ったばかりなので内臓や手足が弱っていて無理に動いたり食べたりするとダメなんだそうだ。 「これを飲みなさい。そうすれば後二日もすれば元通りになりますよ(確証はないけど)。それまで辛抱して寝ていなさい」 ポンフリーはそう言いながら薬が入っているであろう容器を渡してくる。見事な緑色だ。 しかし後二日寝てろってことか。ま、体が元に戻るなら問題ないか。 そう思いながら受け取った飲み物を口につける。 ……苦い。じわりじわりとくる苦さだ。しかもぬるっとしていて気持ち悪い。体にはいいのかもしれないが精神には最悪だ。 空になった容器をポンフリーに渡す。 すると彼女はとても驚いた顔をしていた。 「よく吐き出しませんでしたね。特別苦いのを渡したのに。大抵の人は吐き出してしまうんですよ」 たしかに吐き出したくなったよ。 「でも同じ効果で苦くないのもあるんですけどね。わたくしは苦いのがいいんですけど」 お前の趣味かよ!押し付けるな! 「じゃあわたくしは戻りますけどちゃんと寝ていなさいよ。普通なら平民如きがこんな治療は受けられないんですからね。ちゃんとミス・ヴァリエールに感謝なさいよ」 そういうと部屋を去ろうとする。 その前にやって欲しいことがあるんだが。 「すいませんが、そこに落ちている剣を拾ってもらえませんか?」 ポンフリーは振り返ると杖を振るう。するとデルフが浮き私のほうへ来る。 「ではまた明日」 ポンフリーはそう言うと部屋を出た。 さてと、 「デルフ聞きたいことがあるんだが」 「俺も相棒に聞きたいことがあるけど相棒が先でいいぜ」 デルフが私に聞きたいことがるなんて珍しいな。 「そうか。じゃあ先に聞かせてもらうが私はワルドと戦っていた途中どうなったんだ?途中で意識がなくなったはずなんだ」 「…………」 「デルフリンガー?」 「ちゃんと倒したぜ。相棒が戦ってな。最後は結構やばかったけどな」 「そうか」 何故デルフはさっき黙ったんだ?それになにか嘘をついた気がする。 それに普通ならもっとちゃんと説明してくれそうなものだがな。もしかしていいたくないのか。 ……何か理由があるのだろう。時期が来れば話してくれるに違いない。そう信じるしかない。 「で、お前が聞きたいことっていうのは何だ?」 「……何だったけ?忘れちまった!」 笑いながらそういうデルフにひどい違和感を覚えた。 「そうか」 「あれ?なんにもいわねえの相棒?」 「忘れたならそれでいいさ」 「…………」 それにしても眠たくなってきたな。デルフのことは気に掛かるが言わないんじゃしょうがない。 言うまで待つさ。相棒だからな。 ……大事なことを忘れてたな。 「デルフリンガー、いやデルフ」 「あ?急にどうした相棒」 「自己紹介がまだだったな。私の名前は吉影、吉良吉影だ」 「……俺はデルフリンガーだ!よろしく頼むぜ相棒!」 「ああ」 デルフは驚いたのか少し黙っていたがすぐに返してきた。 それを聞いて私は喋ろうとするデルフを鞘にしまう。だが完全には仕舞わなかった。つまり喋れるってことだ。 「あれ?しまわねえなんて本当にどうしたんだ相棒?」 「気まぐれだ。それと静かにしててくれよ。これから寝るから」 そして目をつぶる。暫らくして私は眠りに落ちた。 「相棒はあのとき気を失ってた?やっぱあれは相棒じゃなかった」 剣は眠る相棒を思いながら呟いた。
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よく物を知っているもの、いわゆる知識人が人にものを教えることを渋ることがある。 知っているんだから渋らずに教えてもいいじゃないかと思うのが一般の認識だ。 私自身そう思っていた。知っているなら教えればいい。それで損害が出るなら教えるのを渋るのは当たり前だが出ないのなら教えても問題が無いだろうと。 だが間違いだった。今ではそんなことを微塵も思っていない。 だから過去形なのだ。 「見てください。包丁です!」 「ああ、よくできてるよ」 知識を独占したいという気持ち、他人が知らないことを知っているという優越感。 それはとても気持ちのいいものだ。 しかしそれは他人に教えることによって他人を自分と同等のところに押し上げてしまう。自分しか知らないという優越感が無くなってしまう。 さらに他人がそれを基にして自分が知らないところまで辿り着いたとしたら? 自分が多大な労力と時間を犠牲に長年蓄えてきた知識を他人が極短い時間で知りさらにその先へ行く。 それは長年の時を経て辿り着いた地位からの転落にならない。自分が相手より下になったに他ならない。それは物凄く腹が立つことだ。 きっと教えることを渋る知識人たちはそう思っているはずだ。 そして今自分がそう思っている。 「ほら見てください!最高傑作パピヨンマスクです!」 「蝶・サイコー……」 どうやって作るんだよそんなもん…… シエスタはとても嬉しそうな眩しい笑顔を浮かべ最高傑作とやらを私に見せてきた。 もはやあやとり教室はシエスタの独壇場であり、私が口を挟むところなどありはしなかった。 むしろ私が教えられる立場だった。 シエスタとあやとりを初めて10分、シエスタは基本を完璧に理解し二人あやとりは完璧にこなせるようになった。 シエスタとあやとりを初めて20分、シエスタは私が知っている一人あやとりの形を全て覚えた。 シエスタがあやとりを初めて40分、シエスタが二人あやとりで私が知らない形を作り始めた。とるのに苦労した。 シエスタがあやとりを初めて50分、シエスタの作る形はもはやとり方が理解できなくなり私の負けが確定した。 そして今、シエスタは一人あやとりで常人では辿り着けない領域に突入していた。次々と新しい形をつく出そうと必死で糸をコチョコチョといじくっている。 必死であやとりを頑張る給仕姿の少女。結構様になっている。 その手はなめらかに糸を操り顔は新たな何かを期待するかのように輝いている。 「面白いですねあやとりって。紐一本でこんなことができるなんて」 「そうだな」 しかしこっちはイライラしている。 そこまでできるのお前だけだっつーの!なんでそこまでできるんだよ! 俺の努力ってなんだったの!? そんな気持ちで一杯だった。勿論表には出さない。 今ここにいてイライラするよりルイズの部屋に行ったほうがいいな。 ベッドが名残惜しいが仕方が無い。シエスタがいないだけマシだ。 どうせこのイライラは一時的な感情だから明日には収まるだろう。続くとしたらもうシエスタの顔も見れなくなるな。 別にそれでも良いけど。 「さて、それじゃあもう戻るとするか」 「え?戻るって?」 「ルイズの部屋にだ。元々あそこが私の部屋だからな」 「あ、そうでしたね。残念です。あと少しでパピヨンマスクも超えるものができそうな気がしたんですけど」 駄目だこいつ……早く何とかしないと……。……吉良違いな気がする。私はこんなキャラじゃない。 そんなことを思っているとシエスタが紐を私に渡してくる。 正直今日はこの紐であやとりをしたくないな。 しかし持ってこさせたのは私だ。それをいらないといえば好感度が下がるのは確実。捨てるにしてもどこかで見られたり捨ててある紐を発見される可能性がある。 ではどうするか。 結論、渡された紐をシエスタの首に掛ける。 「え?」 シエスタは勿論驚くような顔をした。 「持ってろよ。そうすればいつでも練習できるだろ」 「ヨシカゲさん……。ありがとうございます」 「別にいいさ」 計算どおりシエスタは紐を受け取る。見事に厄介払いできてよかった。 それを確認して私は部屋を出る。じゃあなベッド。気持ちよく眠れたよ。 そして私はルイズの部屋に戻っていった。 ルイズの部屋のドアを開ける。 「ヨ、ヨシカゲ!?」 「なにをそんなに驚いているんだ?」 部屋にいたルイズが驚きの声を上げる。どうでも良いけどな。 久しぶりのルイズの部屋は最後に見たときとなんら変わりは無かった。 「も、もう怪我はいいの!?」 「今日が完治予定だっただろ。ポンフリーから聞いてなかったのか?」 「……聞いてない」 言ってなかったのかあのアマ。 「そういえば今日はどうして来てすぐにどっかに行ったんだ?」 「え!べ、別にあんたの裸が恥ずかしかったわけじゃないわよ!?あんたより優先する用事があったのよ!」 恥ずかしかったのか。初心だな。局所が隠れてたっていうのに。 しかしそんなことは言わない。どうせ言ったら怒鳴るだろうしな。 「そんなことより、はいこれ!」 そういってルイズは何か押し付けてくる。また小包だった。 開いてみると中には帽子と手袋が入っていた。なるほど。あのとき届けにきたのか。 早速手袋をつける。帽子は室内なので被らない。手袋はどうやら完璧に新品みたいだな。前のと感触が違う。 「ありがとう」 「こ、これぐらい当然よ!」 「そうか」 さて、もうすぐ昼飯時だな。厨房にはどんな料理があるか楽しみだな。いや、どうせシエスタがいるから今日は行かないでおこう。 ルイズの出す餌で我慢するか。 そして昼食時、ルイズへの疑惑を深める重大な事件は起きた。
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FF2よりマティウス皇帝陛下召喚 ウボァーな使い魔-01 ウボァーな使い魔-02 ウボァーな使い魔-03 ウボァーな使い魔-04 ウボァーな使い魔-05 ウボァーな使い魔-06 ウボァーな使い魔-07